いま一番の流行語は「忖度」(そんたく)だと思いますが、外国特派員は翻訳に相当苦労したようです。
このように翻訳だけでなく、日本語で説明することも難しい言葉に「音抜け」という業界用語があります。もちろん辞書にも載っていませんが、バンドマンはけっこう使います。
試しに「音抜け」をGoogleで翻訳してみると、”Missing sound” と直訳されてしまい、正しく翻訳できません。また定義が定まっていないので、色んな意味で幅広く使われています。「抜けがいいね」とか言うと、何となくそれっぽく聞こえたりするものです。
しかし個人的見解ですが、本来の「音抜け」とは、その楽器がバンドの中で埋もれず、ちゃんと聞こえるかどうかの指標だと思っています。
バンドで個々の楽器がくっきりと聞こえるためには、その楽器の音量や音質だけでなく、アンサンブルの音量バランスや演奏空間の音響特性が非常に大きく影響します。また聞く人の聴覚の周波数特性も人それぞれなので「音抜け」の評価も様々なはずです。
つまり「音抜け」とは、その楽器固有の良し悪しではなく、あらゆることが絡み合った相対的な指標なのです。
何れにしても「音抜け」は非常に曖昧で具体性に欠け、しかも相手に伝わりにくい言葉です。そういう意味では「忖度」同様日本的なのかもしれませんな。